311: 2017/01/16(月)19:22:27

イリマ「大丈夫ですか?どこかケガを?」

グラジオ「フッ…」

グラジオ「ちょうどいい。こいつらを受け取ってくれ」

イリマ「えっ?」

グラジオがイリマに差し出したのは、タイプ:ヌルとメタモンが入ったモンスターボールである。

グラジオ「お前はいい奴そうだ。安心して任せられるからな」

イリマ「えっ、あの、ちょっと?」

グラジオ「頼んだぞ。じゃあな」

イリマ「…?」

 

 

312: 2017/01/16(月)19:22:34

イリマ (なんだろう…悪い人間には見えない…)

イリマ (寂しそうな人だった。ひどく、苦しんでいるように見えた…)

イリマ (彼は…いったい…?)

グラジオの背中を見つめるイリマは、せめて彼の人生に幸福が訪れるようにと願っていた。
そう願わずにはいられなかった。

 

313: 2017/01/16(月)19:22:45

グラジオ「…そろそろ時間だな」

グラジオ「ポケモンはあの男に渡した。後はデスノートだが…」

グラジオ「レム。俺の死後、お前が持って行ってくれ」

グラジオ「優しい死神のデスノートを処分するというのは気が引けるからな」

レム「ああ。わかった」

グラジオ「…死神大王が、『死んだら無になる』という直接的な表現を避けた理由はなんだろうな」

レム「さあな…無になると書けば、恐怖から所有者がデスノートを捨てると思ったのかもしれない」

レム「かといって死後の説明を書かないわけにはいかなかった。だからあの表現にしたのではないかと私は考えるが」

グラジオ「フッ…そうだな」

グラジオ「死んだら終わりなんて…嫌に決まってるよな…」

レム「…ああ」

 

314: 2017/01/16(月)19:22:53

サトシがデスノートを手にする前、その男は死神に別れを告げていた。
男の名はモーン。
ポケリゾートの管理者にして、グラジオとリーリエの父である。

モーン「さっき、昔の部下が連絡をくれたよ」

モーン「リーリエが心臓麻痺で死んだらしい」

ゼルオギー「リーリエ?たしかお前の娘だったよな」

モーン「ああ。先日、5つのウルトラホールが観測された。デスノートに間違いないだろう」

ゼルオギー「そういえば少し前に死神界に帰ったとき、死神大王のジジイが何か計画してるとか聞いたな。それか」

モーン「…」

 

 

315: 2017/01/16(月)19:23:00

モーン「リーリエはメレメレ島のポケモンスクールに通っていたらしい」

モーン「そしてウルトラホールはメレメレ島にも現れた」

ゼルオギー「所有者はメレメレ島にいて、そいつがリーリエを殺した可能性が高いってことか?」

モーン「そうだ。だからお前には、ポケモンスクールに行ってもらいたい」

モーン「デスノート所有者には死神が憑く。もし所有者がいたら、スクールの生徒にでもノートを渡してくれ」

ゼルオギー「…わかった」

ゼルオギー「俺も人間に興味があってこっちに来たわけだが、人間の行動はたまに理解できないな」

モーン「人間は時に、利得を超えた行動をとることがある」

モーン「罪滅ぼし、敵討ち、復讐…色々あるが」

モーン「死神はそんなことしないのか?」

ゼルオギー「さあな」

 

316: 2017/01/16(月)19:23:08

モーン「思い返せば、色々なことがあったな」

モーン「ルザミーネと恋に落ちた私は、彼女の父親が設立したエーテル財団を大きくしたいと考えた」

モーン「彼女を喜ばせたかったんだ」

モーン「そんな時、アローラの空にウルトラホールが現れ、お前が来た」

ゼルオギー「そしてデスノートをお前が拾った」

モーン「私はデスノートを使い、エーテル財団にとって邪魔な人間を片っ端から殺した」

モーン「ルザミーネの父も事故に見せかけて殺し、ルザミーネを財団の代表にした」

モーン「全く酷いことをしたものだ。ルザミーネにノートの存在を知られなかったのが唯一の救いか」

 

317: 2017/01/16(月)19:23:15

モーン「エーテル財団にアローラ支部ができた時、私とルザミーネはアローラに移住した」

モーン「私は彼女のサポートをする傍ら、ウルトラホールについての研究をした」

モーン「お前は死神のくせにウルトラホールのことについて驚くほど何も知らなかったから、大したことはわからなかったがな」

ゼルオギー「いや、死神大王だって何も知らねえと思うぞ」

モーン「やがて、グラジオとリーリエが生まれた」

モーン「グラジオが生まれた時は、ただ感動した」

モーン「自分より大切なものが私の世界に増えたのだという感動だ」

 

318: 2017/01/16(月)19:23:24

モーン「リーリエが生まれた時だって、もちろん感動したさ」

モーン「だがな。ふと思ったんだ」

モーン「この子の半分は私でできている」

モーン「つまり、この子の半分は汚れた殺人者の血なんだ」

モーン「そう思った時、自分がここにいてはいけない気がして、自分は父親を名乗る資格が無い気がして、恐ろしくなった」

ゼルオギー「で、逃げ出したわけだな」

モーン「ああ。家族から離れ、このポケリゾートに逃げ込んだ。全く、私は最低だよ」

モーン「そして今だって、自分の娘を殺した奴を、どこかの誰かに殺してもらおうと考えている。本当に…私は最低の人間だ」

 

 

319: 2017/01/16(月)19:23:34

ゼルオギー「ふうん、人間の心って本当に複雑だよな」

ゼルオギー「俺の知り合いの死神なら…人間って面白!って言いそうだ」

モーン「愉快そうな死神じゃないか。会ってみたいものだ」

ゼルオギー「いや…お前じゃもう無理だろ」

モーン「そうだな…では頼んだぞゼルオギー」

モーン「私はそろそろ眠る時間だ」

ゼルオギー「…お前と出会ってから随分経つが…退屈したことはなかったよ」

ゼルオギー「礼を言うぜ。モーン」

モーン「…フフッ、たまに思うんだ」

モーン「死神というのは…人間にこそ相応しい呼び名なのかもしれないな。ゼルオギー」

ゼルオギー「同感だな」

その日から、ポケリゾートには管理人がいなくなった。

 

320: 2017/01/16(月)19:23:41

レム「さて…デスノートを持って行かなければな」

力なく横たわるグラジオ。
レムがそのデスノートに手を触れた時、背後から声がした。

アセロラ「あー!人が倒れてる!」

レム (!この子は…)

アセロラ「血がついてる!…でもこれ、この人の血じゃないよね…」

アセロラ「そもそもこの人、生きてるのかな…」

アセロラ「…ん?黒い…ノート?」

レム「…」

レム「聞け。アセロラ。そのノートは…」

 

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