297: 2017/01/16(月)19:20:20

グラジオ「驚いたな。あの化け物を退治するとは」

グラジオ「物陰から様子を窺って、不意打ちで奴を殺そうと思っていたが…」

グラジオ「その必要は無かったようだ。ヒヤヒヤさせてくれたな」

スイレン「お…前は…」

グラジオ「お前だけは、この手で殺さなければならない」

グラジオ「リーリエの仇であるお前を殺す!それが俺たちの誇りを取り戻す唯一の術!」

 

298: 2017/01/16(月)19:20:29

スイレン「…私がリーリエの仇?…ははっ、よく言うよ」

スイレン「私にとってはリーリエは、スクールの奴らはアシマリの仇」

スイレン「そして私の人生の障害だった…」

スイレン「私はそれを取り除いただけ…」

グラジオ「黙れ人殺し!お前のその復讐のために、いったい何人の人生を歪めた!」

スイレン「私はあいつらに人生を歪められた!だから私はやり返した!それだけだよ!」

グラジオ「…それが人間を殺していい理由になるのか…!?」

グラジオ「そもそも人を殺していい理由があるわけがない。どんな理屈を並べようと、殺人者なんて悪人に過ぎないんだ」

スイレン「黙れ…黙れ黙れ黙れ!」

 

 

299: 2017/01/16(月)19:20:40

グラジオ「…そうだな。お前と話し合いをするのは無駄なだけだったな」

グラジオ「俺はリーリエのためなら、喜んで悪人になろう」

グラジオ「それがせめてもの…兄としての責任だ」

グラジオ「ヌル。スイレンを抑えつけていてくれ」

スイレン「ひっ…!?」

スイレン「やっ…やめ…!」

グラジオ「…」

グラジオはデスノートを広げ、スイレンの名前を書き、それをスイレンに見せた。
デスノートに記された自分の名前。
スイレンの顔は恐怖に歪んだ。

スイレン「あ…」

グラジオ「…その顔、お前はデスノートの対策をしていないんだな」

グラジオ「一度デスノートに名前を書き込まれた者の死は変更できない。40秒で心臓麻痺…もう決まりだ」

 

300: 2017/01/16(月)19:20:48

スイレン「し…死ぬの!?私は死ぬの!?」

グラジオ「!ヌル!暴れさせるな!」

スイレン「あぐっ…リューク!あいつのデスノートを奪って!リューク!」

リューク「…どう見てもお前の負けだスイレン」

リューク「ここをどう切り抜けるか少しは期待したが、俺にすがるようじゃな…お前は終わりだ」

リューク「色々面白かったぜ」

スイレン (死ぬ…)

スイレン (いやだ…死にたくない…)

リューク「いつだったか、ククイは無の世界に行ったと口走った俺にお前は言ったな」

リューク「天国や地獄に行けないのは、デスノートを使った人間だけじゃないんだろと」

 

 

301: 2017/01/16(月)19:20:58

ククイを殺した翌日の夜、マーマネの殺害計画を考える途中でスイレンはリュークに質問した。

スイレン「デスノートの説明文に、このノートを使った人間は天国にも地獄にも行けないって書いてあるけど」

スイレン「リューク。ククイ先生は無の世界に行ったとか言ってなかった?」

リューク「ククッ…聞かれてたか」

スイレン「もしかして…天国も地獄も無いんじゃないの?」

リューク「そうだスイレン。お前の言う通りだ」

リューク「天国も地獄も無い。生前何をしようが死んだ奴の行くところは同じ」

リューク「死は平等だ」

 

302: 2017/01/16(月)19:21:07

スイレン (死ぬ…そんなの嫌だ…)

スイレン (新しい人生を歩むために…ここまでしたのに…)

スイレン (こんなところで死ぬなんて…それじゃ私は…なんのために…)

スイレン (せめて少しでも幸せな時間を…ほんの少しでも…ああ…)

スイレン (いやだ…死にたくない…!)

スイレン「あああああああああああ!死にたくない!死にたくないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

スイレン「あっ…えげぅ…」

スイレン「ぐ…が…」

スイレン「あ…」

スイレン「」

 

303: 2017/01/16(月)19:21:14

グラジオ「…死んだか」

動かなくなったスイレンの前で膝を折り、グラジオは呟いた。

グラジオ「お前が生に執着していたのと同じように…リーリエもまだ生きたかったはずなんだ」

グラジオ「リーリエを殺したお前を許すことはできない。だがリーリエがお前を虐げていたのも事実」

グラジオ「リーリエの行為を…そして、知らなかったとはいえそれを止められなかったことは謝罪する」

グラジオ「だからもう…安らかに眠ってくれ」

 

304: 2017/01/16(月)19:21:30

スイレンの家を後にしたグラジオは、ビッケにスイレンを殺したという報告をしていた。

グラジオ「ああ、今…やっと終わったよ」

グラジオ「スイレンのデスノートは処分した」

グラジオ「…いや、迎えはいい。もういいんだ」

グラジオ「…さっき、母様と電話で話した。リーリエを殺した犯人が死んだと言ったんだが、やはりダメだった」

グラジオ「母様の心は…もう元には戻らないだろう」

グラジオ「予定通り、母様は楽にしてさしあげよう」

グラジオ「ああ、今日だ。葬儀については任せる」

グラジオ「俺が変装した国際警察の男も…秘密裏ということになるが、丁寧に弔ってやってくれ」

グラジオ「それから、ザオボーに伝言を頼む」

グラジオ「エーテル財団代表の座を任せたい…と」

グラジオ「ああ見えてあいつは信頼の置ける男だ。大丈夫だよ」

グラジオ「…今まで、よく俺に尽くしてくれた」

グラジオ「ありがとう」

 

 

 

305: 2017/01/16(月)19:21:38

レム「あのビッケという女への電話か?グラジオ」

グラジオ「ああ、指示と今までの礼を兼ねてな」

デスノートを広げながら、グラジオはそう答えた。

レム「ルザミーネの死因は…人生で最も幸せだった時の記憶の中で安楽死…か。優しいことだ」

グラジオ「ハンサムが似たようなことを書いていてな。それを少し変えてみたんだ」

グラジオ「母様を苦しみから解放することが目的とはいえ、実の親を殺すことになるとは…親不孝な息子だよ」

レム「安心しろ。お前は私が見た人間の中ではまともなほうだ」

グラジオ「フッ…そうか…」

 

306: 2017/01/16(月)19:21:47

レム「スイレンの墓も作ってやっていたじゃないか。服や手に血と泥をつけてまで」

レム「憎んでいる相手にそこまでするとは思わなかったよ」

グラジオ「あれくらいは当然だ。自分が殺した奴の死体を放置することはできない」

グラジオ「警察の捜査が入れば掘り起こされるだろうがな。せめてもの贖罪だよ」

レム「お前は死ぬのは、その贖罪のためでもあるのか?」

グラジオ「…ああ。テンカラットヒルで死の予定を書き込んだ。朝には俺は死んでるだろう」

グラジオ「俺の手は汚れすぎた。この手で誰かを助けることなど…できるとは思えない」

グラジオ「この説明文にある通り、天国でも地獄でもない場所で罪を償うとするよ」

レム「そのデスノートの説明文だが、実はそれを書いたのは私ではないんだ」

グラジオ「ん?」

レム「それを書いたのは…死神大王」

レム「死神界を治める者だ」

 

307: 2017/01/16(月)19:21:55

レム「死神大王は、死神たちにこう言った」

レム「デスノートを人間界に落とせ。そして人間の数を減らすのだ…と」

グラジオ「死神は人間の寿命を奪って生きているんだろ?人間の数を減らす必要がどこにあるんだ?」

レム「近年、あらゆる組織のボスが自分たちの野望を成し遂げようと、伝説のポケモンを利用した悪事を働いている」

レム「グラードンやカイオーガで陸と海を広げようとした者。ディアルガやパルキアを操り新たな世界の創造を企んだ者。ゼルネアスやイベルタルの力で古の兵器を起動させ、世界を滅ぼそうとした者」

レム「どの組織も壊滅したが、今後そういう悪人によって人類が絶滅する可能性はある」

レム「だから死神大王は人間を、更に言えば悪人を減らすことを考えた」

レム「私が人間界に来るより先に、ゼルオギーという死神がノートをアローラに落としていてな」

レム「ゼルオギーのノートを拾ったある人間は、一人の女のために欲望と愛情の赴くまま、何十人という人間を殺した」

レム「ゼルオギーの例を見て、死神大王はアローラにデスノートを落とそうと考えた」

レム「そして、名乗り出た5匹の死神にデスノートを渡したんだ」

レム「最も人を殺した所有者に憑いた死神には、欲しいものをなんでもやるという約束つきでな」

 

308: 2017/01/16(月)19:22:03

グラジオ「なるほど。あのウルトラホールは死神界に繋がっていたわけか」

レム「リュークは退屈しのぎ。グックやデリダブリーはどっちが勝つかという賭け」

レム「キンダラ=ギベロスタインは暴れるため。そして私はジェラスの影響で参加した」

グラジオ「ジェラス?」

レム「死神だよ。死神ランクは一番下だったんだが、誰より優しい死神だった」

レム「そのせいか、とある少女に入れ込んでね。その子を助けたせいで死んでしまったんだ」

グラジオ「ほう…」

レム「ジェラスの死を見届けた私は、人間界に興味を持った」

レム「その少女にデスノートを渡そうかと思ったんだが…死神界から見たら、少女と同じ島に面白い人間がいることに気づいてね」

グラジオ「俺か?」

レム「いや、ルザミーネだ」

 

309: 2017/01/16(月)19:22:11

レム「ルザミーネは深い悲しみに囚われていた。夫がいなくなったからなんだろう?」

グラジオ「ああ…父であるモーンが失踪してから母様は笑顔を見せなくなった」

グラジオ「あの頃はまだリーリエが死んだ後ほど酷くはなかったがな」

レム「そんな人間にデスノートを渡すべきだと思ってエーテルパラダイスにノートを落としてみたんだ」

レム「ちなみに、落としたのは死神大王から受け取ったノートではなくジェラスのノートだ」

レム「結局はグラジオ、お前が拾ってしまったが…私はこれでよかったと思っているよ」

グラジオ「それは幸いだな…」

 

310: 2017/01/16(月)19:22:20

レム「まあ、オーキドが世界中の悪人を殺したから、今回の試みは大成功だったと言えるだろう」

レム「近いうちに死神大王は次のデスノートを人間界に落とす」

レム「今度は世界中に撒かれるかもしれないね」

グラジオ「そうなると人間の数が大幅に減るまで殺人の連鎖は止まらないな」

グラジオ「死神が関わっている時点で対策は不可能だろうし…」

イリマ「ん!君!どうしたんですか!血まみれじゃないですか!」

グラジオ「む…」

グラジオに声をかけたのは、人が少ない時間帯を狙ってランニングをしていたイリマという少年。
アローラでも名うてのトレーナーである。

 

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