263: 2017/01/16(月)19:12:41

ナイフを構え、戦闘態勢を取るスイレン。
サトシはスイレンに接近してきた。

サトシ「ふんっ!」

スイレン「!」

サトシがスイレンに投げたのは、ピカチュウの死体。
スイレンは咄嗟にピカチュウの死体をナイフで切ってしまった。

スイレン「うあっ…!」

電気タイプのピカチュウの体を金属製のナイフで切れば、当然感電する。
その隙を、サトシは狙った。

 

264: 2017/01/16(月)19:12:51

サトシ「はっ!」

つま先でナイフを蹴り飛ばしたサトシは、武器が無くなったスイレンをそのまま殴った。

スイレン「うぐ…」

サトシ「楽しいなあスイレン!」

スイレン「うごぉっ…!」

サトシの蹴りで、スイレンの体は後方に飛ばされた。
その攻撃は、学校での暴力より遥かに強力。

 

265: 2017/01/16(月)19:12:59

スイレン「が…げほっ…」

サトシ「ははは!よく飛ぶなスイレン!」

スイレン「ま…だ…まだ負け…ない…」

スイレン「アシマリの死体を…弄んだ報いを…」

サトシ「アシマリ?ああ、アマシリか」

サトシ「そうだそうだ。あいつが死んだ後、死体で遊んだっけな」

サトシ「手で丹念に壊して、ゼリー状になったアマシリの体をお前に塗りたくってやったんだった」

サトシ「あの時のグチャグチャって音!最高だったぜスイレン!」

スイレン「サトシ…!」

 

 

266: 2017/01/16(月)19:13:10

スイレン「許さない…!絶対に…!」

サトシ「アシマリの復讐ねえ…」

サトシ「ポケモンなんかのために…」

スイレン「当然でしょ…!私はサトシみたいなトレーナーの真似事をしてるだけのクズじゃない!アシマリは大事なパートナーだったんだから…!」

サトシ「いや、そうじゃない。ポケモンなんかのためにお前がそこまでできるわけないだろってことだ」

スイレン「は…?」

サトシ「アシマリのために。それだけを思ってるならノートを拾った時点で俺たち全員を殺すはずだろ」

サトシ「そうしなかったのはなんでだ?自分を虐げた奴らを惨殺してやるとか思ってたからだろ?」

サトシ「結局お前は、アシマリより自分が大事なんだよ。ポケモン想いの優しいトレーナーなんかじゃない。ただのクズだ」

スイレン「ち…違う…」

スイレン「違う!違う!違う!」

 

267: 2017/01/16(月)19:13:31

サトシ「否定することしかできないか。まあそうだろうな」

サトシ「…ポケモン、か」

サトシ「ガキの頃から俺はポケモンを殺してた。1歳の時に森のポケモンを何匹も殺したりしたもんだ」

サトシ「そして今はポケモンスクールに通ってるわけだが…なあスイレン。俺はポケモンバトルが好きだと思うか?」

スイレン「…自分より弱いポケモンを戦わせてもつまらないとか…思ってるんじゃないの…?」

サトシ「ははっ、それが違うんだよ」

サトシ「俺は強いトレーナー…例えばチャンピオンのポケモンを殺してみたいと思ってる。圧倒的な暴力でな」

サトシ「だが俺がこの手で殺せばそれは犯罪。俺も法の外にいるってわけじゃないから間違いなく捕まる」

サトシ「そこでポケモンバトルだ。ポケモンがポケモンを殺すならバトル中の事故だし、なんの問題も無い」

サトシ「俺はなスイレン。俺の悪意を注ぎ込んで育てたポケモンを、自分の分身と思ってバトルに出してる」

サトシ「そしていつの日か、チャンピオンリーグの観客たちの笑顔を、相手のポケモンの死によって壊してやるのが楽しみでしょうがないんだ」

スイレン「くっ…」

 

268: 2017/01/16(月)19:13:43

サトシ「さて…そういうわけで俺はまだまだ上を目指す」

サトシ「お前なんかのために、トレーナーの真似事を終わらせるわけにはいかないんだ」

スイレン「…殺す。お前はここで殺す…」

スイレン「くらえ!」

スイレンがサトシに向かって投げたのは、マオに投げたものと同じ香辛料のビン。
蓋は開けられており、中身が飛び散った状態である。

サトシ「おっと」

しかしサトシは容易にそれを避けた。

サトシ「危ねえじゃねえか。当たったらどうすんだよっと」

スイレン「ぐげぇっ…!」

さらに一発、渾身の蹴りを受けるスイレン。
バッグの中身が地面にばら撒かれてしまった。

サトシ「はははっ!やっぱスイレン!お前最高のサンドバッグだよな!ここで壊れちまうんだけどな!」

 

 

 

269: 2017/01/16(月)19:13:51

スイレン (く…)

スイレン (サトシは…私の命を奪うことに何も感じてない)

スイレン (サトシの意識は…常人と違うところに存在してる…)

サトシ「さあてと。夜は冷えるからな。そろそろ死ぬか?」

スイレン (ここから…逆転できる方法は…?)

スイレン (もう…これしか…)

 

270: 2017/01/16(月)19:14:00

サトシ「もう終わりだ」

サトシ「最後に一発入れて、お前の鳴き声を聞きながら首を折る」

サトシ「さよならだ。スイレン」

スイレンに最後の攻撃を加えようと、サトシがスイレンに向かって走り出す。
そのサトシの足に、スイレンは完璧なタイミングで小瓶を投げつけた。

サトシ (またくだらねえことを…)

サトシは先程の香辛料をイメージしていたのか、小瓶も、小瓶から出た液体も避けなかった。
それが間違いだった。

 

271: 2017/01/16(月)19:14:07

サトシ「な…」

サトシが異変に気付いたのは、その液体を踏んだ直後。
自分の足が全く動かないのである。

サトシ「スイレン!何だ!これは!」

スイレン「ははっ…サトシが動揺するの、初めて見た」

笑いながらゆっくりと立ち上がるスイレン。

スイレン「ザロクの実とネコブの実を調合した、超強力な瞬間接着剤」

スイレン「もう取れないよ。それ」

 

 

272: 2017/01/16(月)19:14:17

サトシ (くそっ…!早く靴を…)

スイレン「させない!」

スイレンは地面に転がる小瓶のひとつを拾い、蓋を開けてサトシに投げつけた。
その中身は…

サトシ「ぐっ!?あああああああああああああああああ!」

サトシ「スイレン!てめえええええええええええええええええええええ!」

サンの実とスターの実を調合した特殊溶解液。
アマカジの毒が入っていない分、マオが作ったものよりは効果が薄いが、それでもサトシの肌を溶かすほどには強力である。

 

273: 2017/01/16(月)19:14:25

サトシ「うううううあああああああああああああああ!殺す殺す殺す殺す!」

発狂したように叫んだサトシは靴を無理矢理に破き、足を抜くと左後方に向かって跳躍した。

スイレン (!まだ動けるのか…!まずい!)

サトシ「スイレエエエエエエエエエエエエエエン!」

その場でスイレンの名を叫んだかと思うと、溶解液で爛れた肉体を奮い立たせ、再びスイレンに襲い掛かろうと跳躍の構えを見せた。

スイレン (避けても無駄!かといって立ち向かえない!どうする…!)

絶体絶命のスイレンに手を差し伸べたのは…

ゼルオギー「スイレン!」

死神だった。

 

 

274: 2017/01/16(月)19:14:35

ゼルオギーがスイレンに投げたのは、ハンサムが携帯していた拳銃。

スイレン「!」

スイレンにはゼルオギーの声など聞こえていない。
それでも、自分に向かって飛んできた拳銃を受け止めることはできた。

サトシ「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

怒りで理性すら失ったサトシが、スイレンを殺すために襲い掛かった。

スイレン「くっ…!」

スイレンは咄嗟に銃を構え、そしてサトシに向かって発砲した。

サトシ「があっ…!」

サトシ「バ…」

サトシ「馬鹿野郎おおおおおおおおお!死神いいいいいいいい!誰を裏切ってる!ふざけるなあああああああ!」

ゼルオギー「…」

 

275: 2017/01/16(月)19:14:43

ゼルオギー「覚えてるか?人間に興味がある死神の話」

サトシ「なに…!?」

ゼルオギー「その中にジェラスという名前が出てきただろう」

ゼルオギー「あいつはな。人間に恋をして死んだ」

ゼルオギー「ジェラスの行動は全く理解できなかったが…今少しだけわかったよ」

ゼルオギー「死神は人間を嫌いになれる。なら好きになることもできるんだろう」

サトシ「ゼルオギー…てめえ…」

ゼルオギー「ああそうだ。サトシ」

ゼルオギー「俺はお前が大嫌いだ」

 

276: 2017/01/16(月)19:14:54

サトシ「…何様のつもりだ…!俺にノートを渡す時も嘘をつきやがって…」

ゼルオギー「それはお互い様だろ?お前だって俺にいくつの嘘をついた?」

ゼルオギー「人が死ぬところは見たことが無いだと?酷い嘘もあったもんだ」

ゼルオギー「人間界に来て随分経つが、お前みたいなクズは初めてだよ。この快楽殺人鬼」

サトシ「…フン、死神だろうと殺せるんだ。お前もいつか殺してやるよ」

サトシ「だが今は目先のゴミが優先だ。ここまで俺を苛つかせた奴は後にも先にもお前だけだろうな」

サトシ「スイレン」

スイレン「…!」

 

277: 2017/01/16(月)19:15:01

常に、強者だった。
趣味でのポケモンバトルならいざ知らず、通常の戦闘なら負けるどころか傷を負ったことさえ無かった。

サトシ (それがどうだ…!)

サトシ (人間を超えた才能を生まれ持った、人類の進化形であるこの俺が…)

サトシ (こんなカスに追い詰められてるだと…?)

人生初の苦戦と、生命の危機。
溶解液と銃弾によるダメージは、超人的な肉体を持つサトシにとっても大きいものだった。

サトシ「…ハッ」

それでもなお、サトシは嗤った。

 

278: 2017/01/16(月)19:15:21

サトシ「ハァッ!」

スイレン「!」

不敵な笑みを浮かべ、サトシはスイレンに急速に接近した。

スイレン (まずい!)

このままでは自分の才能の敗北を認めるようなもの。
サトシにはそれが許せなかったのだ。

スイレン (次の弾を…!)

スイレンがサトシに向かって銃を撃つが、サトシはその弾を難なく回避する。

サトシ (銃と目標の間に十分な距離がある場合、目標を目で追うと当たらない)

スイレン「っ…なんで…」

 

279: 2017/01/16(月)19:15:42

サトシ (ここからが危険な間合いだ。かわすのは難しい)

スイレン「この距離なら!」

サトシ (だから避けない)

サトシはスイレンの銃弾を避けず、腕で受け止めた。

スイレン「は…?」

サトシ「ハッ!」

スイレンへの距離はあと少し。
爛れた拳を固めるサトシ。

スイレン「くっ…」

スイレンはまた2発撃ったが、それは地面に転がるスイレンの小瓶に当たっただけでサトシには命中しなかった。

サトシ「下手糞だな」

サトシ「あと1発残ってるはずだが…」

サトシ「間に合わないよな」

スイレンは後ろに下がろうとしたが、唸りを上げるサトシの右フックが襲う。
とつてもなく堅く重い拳がスイレンの頬骨の上に炸裂した。

 

280: 2017/01/16(月)19:15:54

スイレン (だ…めだ…)

スイレン (こいつには銃弾なんて不意打ちでしか通用しない…)

サトシの肉体の強さはもはや、数字で表すことができない領域に達していた。
常人を遥かに超える筋繊維密度。
その異常ともいえる筋肉を固めれば、サトシは銃弾ですらガードできる。

サトシ「ははっ!武器があってもこの程度かスイレン!」

サトシ「おっ、もう腫れてるのか。いい顔だな」

サトシ「その顔がボコボコになる頃にはお前も死んでるだろう」

サトシ「無駄な抵抗をしなければ1発2発で済んだのに。バカな奴だ」

スイレン (でも…)

スイレン「そう…その位置でいい…」

サトシ「あ?」

突如、サトシの背後で爆発が起こった。

 

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