238: 2017/01/16(月)19:08:28

メレメレ島の空。
スイレンは激しい痛みを訴える体をリザードンの背に委ねながら、ひとつの決意を固めていた。

スイレン (サトシ…そしてあのグラジオっていう男)

スイレン (残る所有者はあの2人だけ)

スイレン (あの2人さえ殺せば私の勝ち…)

スイレン (デスノートで殺せないんなら、ポケモンを使って不意打ちする)

スイレン (絶対に負けない…負けるわけにはいかない)

スイレン (負ければ私は…何のために全てを捨てたのか…)

 

239: 2017/01/16(月)19:08:36

スイレンは、家から数百メートル離れた地点でリザードンを着陸させた。
リザードンは目立つため、家の近くまで飛ばせてしまっては危険だと考えたのだ。

スイレン「ありがとうリザードン。助かったよ」

リザードン「ゴガァ!」

リザードンと別れ、スイレンは痛む箇所を手で押さえながら少しずつ歩いていく。

スイレン (早く家に帰って…傷の手当てをしないと…)

スイレン (その後でサトシたちを殺す準備…くっ…痛い…)

 

 

240: 2017/01/16(月)19:08:43

リューク「ククッ スイレン、体もいいが頭のほうも冷やした方がいいんじゃねえか?」

スイレン「?」

リューク「あの国際警察からデスノートを奪って、コードネームハンサムだっけ?あいつを殺そうとしただろ」

スイレン「…うん」

 

241: 2017/01/16(月)19:08:50

幼スイレン「わーい!おでかけおでかけ!」

スイレン父「こらこらスイレン。妹たちのものを買いにいくだけだぞ」

幼スイレン「えー!パフェ食べたい!」

スイレン母「ふふっ、いい子にしてたら食べさせてあげるわよ」

 

242: 2017/01/16(月)19:08:58

リューク「でもなあ、あいつはデスノートを2冊持ってた。オーキドの動画を見たお前なら知ってたはずだ」

グック「デリダブリーのデスノートだな」

リューク「そうだ。だからハンサムはデリダブリーのデスノートに新しく自分の死の予定を書き込んだ」

スイレン「そうだね…そうされることまで考えられなかったよ」

スイレン「で、何が言いたいの?」

リューク「ククッ お前の計画は杜撰すぎる」

リューク「なあスイレン。お前…自分を見失ってるんじゃねえか?」

 

243: 2017/01/16(月)19:09:07

幼スイレン「ねー!双子なんだよね?」

スイレン母「そうよ。名前は何にしようかしらね?」

幼スイレン「スイレン考えたの!うーんとね!ホウとスイ!」

スイレン父「おっ、いいんじゃないか?」

スイレン母「そうね…いいわね!」

幼スイレン「やったー!」

 

 

244: 2017/01/16(月)19:09:16

スイレン「そんな…はずないよ…」

スイレン「私とアシマリの復讐を成し遂げたい」

スイレン「そのためにサトシたちを殺したい」

スイレン「その邪魔をする国際警察やグラジオを殺したい」

スイレン「あいつらの命を潰して!その上に私の幸せを!幸せな人生を作る!」

スイレン「これは間違いなく…私の、私自身の本心…」

グック「ケケッ…俺たち死神はお前の過去なんか知らないけどな」

グック「ガキの頃のお前なら、いや少し前のお前でも…もう少し聡明だったんじゃねえの?」

スイレン「うるさい!…っぐ…」

スイレン (傷が痛む…目が霞んできた…)

 

245: 2017/01/16(月)19:09:23

幼スイレン「スイレンね!おとうさんと、おかあさんと、ホウと、スイと!ずっと一緒にいたいよ!」

スイレン父「ははっ、俺もだ。お前たちを離すもんか」

スイレン母「あら、私だって優しいお母さんになるわよ」

幼スイレン「ふふっ!ホウとスイに早く会いたいな!」

スイレン「…!?」

傷のせいか、スイレンの前に現れた幻覚と幻聴。

スイレン「…邪魔をしないで」

だがスイレンは歩調を緩めない。
そんなものに構っている暇は無いからだ。

 

246: 2017/01/16(月)19:09:30

幻覚たちとすれ違ってから少し歩くと、家の近くの風景が見えていた。
しかしそこには肝心な、家そのものが無かった。

スイレン「こ…これは…」

強力な「かみなり」で焼かれたであろう家。
そして崩れた家の前に座っていたのは、見知った、誰より憎む顔であった。

サトシ「よう。スイレン」

 

 

247: 2017/01/16(月)19:09:42

いつか殺したく、かつ今出会いたくない者がそこにいた。
絶望が、形となってスイレンの眼前に現れた。

スイレン「サトシ…」

サトシ「なんだ?さっきより傷が増えてるな。服もバッグもボロボロだ。あの隠れてた奴にやられたのか」

サトシ「まあ俺にビビって出てこれないような雑魚だ…だからお前も逃げてこられたわけか」

スイレン「…どうしても、ここで私を殺したいんだね」

サトシ「助かると思って家まで帰ったら家はこの有様。そして俺に殺される」

サトシ「最高の絶望だろ?スイレン」

 

248: 2017/01/16(月)19:09:50

スイレン (せっかく逃げてきたのに…なんでこんな…)

サトシ「でんこうせっか」

スイレン「うぐっ!?」

突然繰り出されたピカチュウの攻撃は、タイプ:ヌルにつけられた傷に直撃した。
激痛に苦しむスイレン。

サトシ「カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ、イッシュ、カロス」

サトシ「色々な地方を旅する中で、俺はお前みたいな奴に何人も出会ったし何度も殺してきた」

サトシ「俺を殺そうとする奴は死ぬ前に決まって今のお前みたいな目をする」

サトシ「憤激と恐怖と殺意が渦巻いた、そんな目をな」

 

 

249: 2017/01/16(月)19:09:59

スイレン「くっ!」

力ではピカチュウにも敵わないと悟り、スイレンは持ってきたナイフでピカチュウを攻撃しようとする。
ピカチュウは後方に跳躍し、ナイフの軌道から簡単に逃れた。

スイレン (この距離なら…ギリギリ行ける…)

デスノートを取り出し、即死の死因でピカチュウを殺そうとするスイレン。
刹那、ピカチュウが繰り出すは…
伝家の宝刀―

サトシ「ボルテッカー」

ピカチュウ「ピッカァ!」

サトシがその技を指示した時、ピカチュウの姿はスイレンの視界から消えた。

 

250: 2017/01/16(月)19:10:10

スイレン (速い!動体視力が追い付かない!)

スイレン (くっ…でも!)

ピカチュウ「ピッ…」

ピカチュウ「カ…」

突如、ピカチュウの足がガクンと曲がり、急激に失速した。
それでもピカチュウの突進は止まらない。

スイレン「うぐっ…!?」

スイレンがピカチュウの名前を書き終わったのは、ピカチュウのボルテッカーが炸裂する少し前。
よってピカチュウはボルテッカーによる攻撃途中で即死し、スイレンは最高威力での直撃を受けずに済んだ。

サトシ「…」

スイレン「げほっ…あ…ぐ…」」

しかしそれでも、スイレンにとってはあまりにも強大な攻撃。
直撃していた場合、どうなっていたことだろうか。

 

251: 2017/01/16(月)19:10:32

スイレン「…ピカチュウは…死んだ…これで後はサトシだけ…」

サトシ「別に死んでもいいんだよ。そのピカチュウは5体目だし」

スイレン「!?」

サトシ「いざという時にミスをした奴は処分して、新しいピカチュウを捕まえる。これを繰り返してた」

サトシ「ピカチュウにはこだわりが強くてな」

サトシ「今死んだピカチュウはまあまあ長い付き合いだったが…構わない。お前に殺されるようなら、そこまでだったってだけだ」

リューク「ククッ ひどいなこいつ」

ゼルオギー「…」

サトシ「さて、まだまだ元気だなスイレン」

サトシ「俺の生活を乱したお前には、その罪にふさわしい死を与えてやるよ」

スイレン「くっ…」

サトシ (いつも、人を殺す時には昔のことを思い出す…)

 

252: 2017/01/16(月)19:10:42

とある少年の追憶―
幼いころのことを思い出すと、サトシは、突然見知らぬ惑星に放り出された宇宙生物だったような気になる。
運動能力も知能も、サトシは周りの子どもより遥かに優れていた。

赤サトシ (これは…?どうすれば壊せるのかな?)

赤ん坊の時、サトシはあらゆるものに興味を示し、貪欲に知識を吸収していった。
まず触ってみて、原理を理解し、最後には破壊する。
そんなサトシのせいで、一時期サトシの家はかなり悲惨な状況になっていた。
しかし両親は、一切咎め立てをしなかった。

 

253: 2017/01/16(月)19:10:51

最初にサトシの才能に気づいたのは、サトシの父だった。
いや、サトシが生まれる前から、自分の子供が天才であることを知っていたのだ。

ハナコ「あの子があなたに似てくれてよかったわ。きっと凄い子に育つわよ」

サトシ父「当然だ。私の子なのだから」

母のハナコは一人息子のサトシに対し、無償の愛を注いだ。
サトシの才能を伸ばすことを第一に考えていたが、必ずしも社会的な成功を収めることだけが大切だとは考えていなかった。
ただ、本人が幸せな人生を送れるよう最大限のサポートをしてやることが、親としての務めなのだと考えていた。

 

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