225: 2017/01/16(月)19:05:44

スイレン (サトシに助けられた…?)

スイレン (私が…?あんな奴に…?)

スイレン「…あ」

スイレン「ああああああああああああああああああああああああああああああ!」

最も憎む者に命を助けられたという屈辱。
それがスイレンの怒りをかき立てた。

スイレン「殺す…絶対に殺す!カキもマオも!ついでに国際警察も!あいつに殺された!だから今度こそ!最悪の死をあいつに!サトシに!」

スイレン「私がリーリエを殺した時よりも!ククイの時よりも!マーマネの時よりも!もっと残酷な死を!」

グック「おい…こいつヤバくね?」

リューク「ククッ…たまにこうなるんだよ」

 

226: 2017/01/16(月)19:05:54

「悪いがそれは無理だ」

スイレン「!?」

聞き覚えがある声だった。
見覚えがある顔だった。
しかし、前とはまるで別人のような雰囲気を感じた。

スイレン「…また…なんでみんな…こいつだって…死んだはずなのに…?」

理解が追い付かない。
次から次へと殺したはずの人間が現れるという状況に、スイレンは耐えられていないのだ。

捜査員2「この男は死んでない。お前より先にデスノートを使ったからだろうな」

捜査員2「ははっ…やっと見つけた。母様、やっと見つけましたよ」

その声は、途中から変化していった。
その顔が、みるみるうちに歪んでいった。
国際警察捜査員が彼のものではない笑みを浮かべた時、その場の空気がどろりと濁った。

グラジオ「リーリエを殺した、犯人を」

 

 

227: 2017/01/16(月)19:06:09

妹の仇であるスイレンを前にして、グラジオは追憶する。

グラジオ (リーリエが死んだ)

グラジオ (あの日、母様から聞かされたその報告が俺の人生を変えた)

グラジオ (その報告をする母様の声は…いつもより数段弱々しかった…)

グラジオ (俺はすぐにエーテルパラダイスに戻り、リーリエの顔を見たが…)

グラジオ (違った。あの弾けるような笑顔とは似ても似つかぬ、死の顔だった)

グラジオ (俺でさえ気を失いそうになった。リーリエを溺愛していた母様にとっては…どれほどのショックだっただろう)

 

228: 2017/01/16(月)19:06:16

グラジオ (なぜ母様はこうも不幸になるのか…元気だったはずのリーリエがなぜ…どうして俺は長い間リーリエに会わなかった…?)

グラジオ (俺は兄として、リーリエに何をしてやれた…?)

グラジオ (湧いてきた様々な疑問。それが俺の心を締め付け、壊しそうになった)

グラジオ (その場に立ち止まっていられず、俺は建物の外に逃げ出した)

グラジオ (リーリエは俺や母様にとっては、あまりにも大きな人生の一部)

グラジオ (リーリエの死による喪失感を抱えながら、この先ずっと生きていかなければならない…そう考えると恐怖や絶望が大きく、大きく膨れ上がってきた)

グラジオ (そんな時、俺に手を差し伸べてくれたのは…)

グラジオ (死神だった)

 

229: 2017/01/16(月)19:07:14

グラジオ (落ちていた黒いノート…デスノートを拾った時、白い死神が現れた)

グラジオ (死神はレムと名乗った)

グラジオ (レムの話で、リーリエの死の真相は理解できた)

グラジオ (誰かがデスノートを使ってリーリエを殺した、そうとしか考えられない)

グラジオ (しかし怪しい人間が多すぎる。エーテル財団は他に類を見ない急成長の結果、これほどの規模に至った)

グラジオ (当然、悪事も働いてきたのだろう)

グラジオ (その令嬢であるリーリエの命を狙う人間など数えきれない)

グラジオ (財団の業がリーリエを殺したのかと思うと、やるせない思いになったものだ)

 

230: 2017/01/16(月)19:07:22

グラジオ (それでも俺は諦めなかった)

グラジオ (なんとしてもリーリエを殺した奴を見つけ出し、惨めに殺してやろうと思ったからだ)

グラジオ (そのために、もっとも信頼できる人間…ビッケに協力を依頼した)

グラジオ (善良な人間に人殺しの手伝いをさせるというのは胸が痛んだが、ビッケは快く了承してくれた)

グラジオ (そして俺はレムとヌルを連れてアローラ本土に移動し、ビッケにはエーテルパラダイスでのサポートを任せた)

グラジオ (ある時、ビッケから連絡が入った)

グラジオ (エーテルパラダイスに国際警察が来たという)

 

231: 2017/01/16(月)19:07:31

グラジオ (ビッケがこっそりと撮影した動画に映っていた6人の国際警察捜査員)

グラジオ (奴らが帰った後、その中の1人をデスノートで操り、エーテルパラダイスに監禁した)

グラジオ (そして俺がメタモン変装術でその捜査員に成り代わった)

グラジオ (もちろん、他の捜査員たちにバレないようにだ。危険な賭けだったが、なんとかうまくいった)

グラジオ (そしてそのまま捜査を続けていたが…ある日の朝)

グラジオ (共に行動していた捜査員が突然、心臓麻痺で死んだ)

 

 

232: 2017/01/16(月)19:07:38

グラジオ (ハンサムから届いたメールで、他の捜査員も全員死んだことがわかった)

グラジオ (その前に死んだフーディン使いの捜査員に続き他の連中まで…残ったのはハンサムだけ)

グラジオ (こうなっては仕方がないと、ハンサムの行動だけを観察し続けた)

グラジオ (ハンサムは優秀だ。必ず他の所有者を、そしてリーリエを殺した犯人を見つけてくれると信じてな)

グラジオ (そして今…)

グラジオ (仇は…目の前に…!)

 

233: 2017/01/16(月)19:07:47

グラジオの顔を覆っていたものは、ピンク色の塊となってグラジオの手に乗った。
へんしんポケモン、メタモンである。

スイレン「メタモン…!」

グラジオ「そうだ。エーテル財団で飼育していた個体を借りてきた」

グラジオ「このメタモンの能力値は最高だ。変身も完璧にできる。他人の顔の再現もな」

リューク「へえ、すげえな」

レム「変装が完璧なら、それは写真と同じようなもの。グックと契約した人間の死神の目も誤魔化せた」

グック「俺たち死神にはお前がいるせいでバレバレだったけどな、レム」

 

234: 2017/01/16(月)19:07:54

スイレン「くっ…!」

全身から獰猛な殺気を放出するグラジオを警戒してか、スイレンはデスノートから切り離した紙を取り出した。
以前作った、右端に「即死」とだけ書かれたページである。

グラジオ「それはデスノートか?やめておけ」

グラジオ「ヌル!たいあたり!」

投げられたボールから飛び出したのはタイプ:ヌル。
エーテル財団の研究によって作られた人工のポケモンである。

スイレン (!こいつ死神の目が効かない…!)

スイレン「ぐうっ…!」

タイプ:ヌルは仮面を被っているため、死神の目で名前が見えない。
スイレンは攻撃を腹に食らってしまった。

 

235: 2017/01/16(月)19:08:02

グラジオ「…今日、俺は取り戻す」

グラジオ「家族の、そして俺自身の誇りを」

グラジオ「お前の首で!」

スイレン「…黙れ!」

グラジオの名前をデスノートに書きこむスイレン。
だが、即死という死因を指定したにも関わらずグラジオが死ぬ気配は全くない。

スイレン「なんで…」

グラジオ「ハンサムと同じだ。俺は死ぬ覚悟をしている…それだけだ」

スイレンに向かって右前脚を振り上げるタイプ:ヌル。
ブレイククローの予備動作である。

 

236: 2017/01/16(月)19:08:09

スイレン「!」

かわそうとしたが、腰にブレイククローが当たってしまった。

スイレン「っつ…」

スイレン (あと少し…この空洞部なら…逃げ切れる…)

グラジオ (?様子がおかしいな…)

グラジオがタイプ:ヌルに次の攻撃を指示しようとした瞬間。
テンカラットヒルに一匹のポケモンが舞い降りた。

 

237: 2017/01/16(月)19:08:19

リザードン「…」

ライドポケモン・リザードンである。
スイレンがライドギアで呼び出したのだ。

スイレン「リザードン!飛んで!」

痛む体を無理矢理に動かし、リザードンに飛び乗ったスイレン。
リザードンはすぐに飛び立った。

グラジオ「ヌル!逃がすな!」

スイレンを逃がすまいと、グラジオがタイプ:ヌルにリザードンへの攻撃を指示した。
しかしあと一歩のところで攻撃は当たらず、スイレンはテンカラットヒルから逃げて行った。

グラジオ「…クソッ!」

あとには、二人の死体と一人の激昂が残るのみだった。

 

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